蘭子ちゃんの返事の後は、お互いにとても恥ずかしくって、なんにも話さないで帰ってきた。オバサンにお釣りを渡して、家に帰った。なんか知らんがニヤニヤする母さんが「ちゃんと手伝ってきた?」と聞いてきたけど、知らんぷりして自分の部屋へ戻った。ベッドに倒れ込んで、一呼吸して思い切り枕に向かって叫んだ。その日は晩ごはん食べないで寝た。最近は全然話さなかったくせに、もう蘭子ちゃんと会えないかもしれないと思うととんでもなく悲しかった。蘭子ちゃんのキラキラした目と唇が頭から離れなかった。
次の朝、手荷物を抱えた蘭子ちゃんがうちを訪ねてきた。これから空港へ行って飛行機で東京まで行くんだという。これで蘭子ちゃんとはお別れだ。もしかすると、もう会えないのかも知れない。東京はデカイところだから、きっと蘭子ちゃんは僕のことなんか忘れてしまうだろう。それより昨日のことは早く忘れてほしい。そう思うと、玄関へ向かう足がとても重かった。
5月の朝だというのに、今年はもうジワジワと熱い。玄関の戸をゆっくりと開けると、そこに蘭子ちゃんが立っていた。
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奥多摩北斎?✅ (jcm50@pawoo.net)'s status on Monday, 17-Dec-2018 22:17:45 JST 奥多摩北斎?✅ - aries@mstdn.asterism.xyz repeated this.