ヒトを見ていると、ばかばかしくも白い模様の書かれた場所でいったん止まり、集まったころに一緒にわたるという行動を繰り返していることに気づいた。
さらに観察を続けた結果わかったのは、
・信号という光る機械があり、みなそれを見ている
・それの合図を確認し、歩くヒトと車に乗るヒトが交互に行き来している
・場所が決めてあり、それがあの白い帯が並んだところである
ということだ。
理解してみれば感心した。ハトもヒトほど数が多くなれば、あのようにしたほうがいいだろうな。
私は他のハトに先駆けて、道路横断という行為を試すことにした。まず信号の下で待つ。赤く光っている。この間は待たねばならない。
光は青くなった。飛べば一瞬で渡り切れるが、ここは人に倣って歩いて渡ろう。青が点滅し始めたら、ハトなりに急いで渡る。
渡り切って私は感動と興奮を覚えていた。何かの指示に従って、周囲と同じことをするという一体感に驚く。先頭を飛ぶハトが左に曲がったらみなも左に曲がる、あの扇情と一緒だ。
なるほどなるほど、ヒトはこの気持ちよさを味わいたくてルールを守っているということが理解できた。