ハトの新年の行事のひとつに「ハトみくじ」がある。
ハトはこれに参加するのが楽しみで、全員行列に並んでいる。とある神社の屋根裏に入っていくと、出る頃にはその年の運勢がわかるという。出口はいくつかあるらしく、大吉の出口から出ることが参加鳩の願いだ。参加した先輩は皆いう、「俺は去年大吉だったぜ」それは眉唾ものだが「美味しい神籤だ、あれは良いものだ」とも言う。
だから毎年人気である。
まず屋根裏へ入る。暗い中、くちばしで探り、神籤の入った自動頒布箱に頭を入れ、くちばしを大きく開ける。
そこへ神籤が降ってくる。神籤は米を丸めて作った、柔らかく弾力も強い球状の食べものである。
それが口に入って、もぐもぐくちばしを動かし、飲み込めた頃、出口が開き明るい光が差し込むので、そこから出れば今年の運勢がわかる。
たまには飲み込みがうまくいかず、動かなくなるハトもいる。それは床下に空いた穴へ落ちていき、どこかの出口に連れて行かれるのだろう。
自力で出口を出たハトが振り返ると、そこには「大吉」とあった。「やった、みんなに自慢しよう。美味しいおみくじで大吉だったよと」