「若い女性が,親や旧式の先生が心配してとめるのに抗して科学者になることを主張しようとするなら,女性が科学でりっぱにやってゆけることを示す証拠としてキュリー婦人をあげるのは用心せねばならない.とび離れた実例を一般化しようとする傾向は,女性が生まれつき科学への適性を持っていることを人々に納得させはしない.キュリー夫人ではなく何万人もの女性が科学の研究で稼ぎ,しばしば幸福であることを,証拠としてあげるべきである」
P.B.メダワー(鎮目恭夫訳)『若き科学者へ 新版』みすず書房 2016: pp.36-37.
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とび離れた実例を一般化しても奏効するとは限らない,というのは科学における性差別の文脈以外でも多く当てはまりそう.
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続けて,
「ますます多くの女性が学問的職業へ入ってくることが望ましいのは,女性たちに有利な勤め口を与えるとか,彼女らのもつ能力を充分に開発する機会を与えるとかいうことを主な目的としてのことではない.何よりも大きな理由は,世界は今やきわめて複雑かつ急速に変化しつつあるので,人類の約半数の人の知能と技能を利用することなしには,(社会の改良どころか)世界を維持してゆくことさえできないからである」(p.37)
とも.
新版が2016年と書いたが,元は1981年に訳されたもので,メダワーの原書は1979年刊行であることも付記すべきだった.
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