おお,鳥たちよ,私は悩んでいる
私の気に入った住まいは海辺だ
だれも決して私の鳴き声を聞かない
私は危害を加えないので,世の中で
一瞬たりとだれも決して私から害を受けない
私は海辺で悲しそうに座り
いつもふさぎこんで嘆いている
私は水を切望して心を血まみれにしている
もし水が足りなくなったら,私はどうしよう
私は海の生物ではないので、不思議なことに
私は海辺で唇が乾いて死ぬだろう
たとえ海が種々の形に波打とうとも
私はそれから一滴さえも飲めない
もし海からの一滴の水もなくなったら
私の心は悔しさの火で燃えるだろう
私には海への愛が十分にあるので
私の頭はこの種の空想でいっぱいだ
今私は海への悲しみだけが欲しい
アッタール(黒柳恒男訳)『鳥の言葉――ペルシア神秘主義比喩物語詩』(平凡社 2012年)アオサギの話から(p.35)