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関数解析の本を自主ゼミでやって、関数解析をまとめてみたけれど、今まで自分がやってきた勉強が統一された感じだ。コーシー、リーマンの解析学が古典的解析学ならば関数解析は20世紀の解析学と言える。というのも関数解析はいわば解析学の代数化・集合論化の試みと言える。そもそものHilbertの試みがそうであったように、関数解析は関数、微分、積分までも代数化し、線形代数学の上にのっけてしまおうという試みと言える。一端線形代数にのっけられれば積分方程式論もすべて線形代数の固有値問題へと還元できる。そして解析学が実数を扱うことからも、集合論的な実数の扱いが必要になり、それ故に測度論がくわわり、そして空間を扱うために点と点の距離の集合論的扱いとして空間位相論が加わる。関数 解析は19世紀後半の成果である 代数学、集合論、空間位相論を柱としての解析学の取り扱いと言える。そしてその解析学がのる抽象的な空間がバナッハ空間となり、特にその中でのヒルベルト空間がフーリエ級数論、量子力学上での空間となる。これらを一望すると関数解析学は完全に集合論へと還元しようという意図がみてとれて、その戦略そのものがまさに20世紀前半の戦略であるところが興味深い。