Gabがマストドンのフォークに移行するという噂があり、Gargronやアプリ開発者たちは浮足立っているようだ。
Gabはオルトライトの巣窟であり、聞くに堪えないヘイトスピーチにあふれている。もしGabがActivityPubの連合に参加するのならば、マストドンの多くのインスタンスがGabをドメインブロックするのは、自然な成り行きである。
話が複雑なのは、マストドンのクライアントアプリがGabをブロックすべきかという問題である。ここには、私たちFediverseの旧住民とGabという不愉快な新住民という二項対立のほかに、GAFAというやっかいな巨人たちの存在が影を落としている。GAFAのうちでもAppleとGoogleは、iOSとAndroidのアプリストアを掌握し、その (しばしば恣意的でもある) 審査を通して、アプリの作者たちを強権的に支配している。現に、Gabのスマートフォン用アプリは、ストアの審査で落とされており (けだし、これは妥当な判断であろう)、スマートフォンのユーザーも、ウェブUIの使用を余儀なくされている。
もし、Gabがマストドンのフォークに移行すれば、マストドンのために開発されたスマートフォン用アプリは、Gabにアクセスするためにも使うことができる。Gabの運営者は、そのことを期待しているようである。これに対して、Gargromは、マストドンのクライアントアプリの開発者にも、Gabをドメインブロックするよう呼び掛けている。
ここにはちょっとした落とし穴がある。スマートフォン用アプリの開発者のなかには、Gabをブロックすることの正当性として、もしGabをブロックしなけれなければアプリストアからバンされるだろう、という憶測を述べる者がある。
残念ながら、これはきわめて服従主義的な意見であり、私たちはこの憶測と脅しを受け入れるべきではない。アプリの作者たちが、Gabの反人道的な主張に抗議するためにこれをブロックするというのなら、それは立派な行いであろう。しかし、アフリストアの判断を忖度したうえで、アプリストアにブロックされたくないから自分はGabをブロックするというのでは、そのアプリの開発者は、アプリストアに隷属する醜い腰巾着にすぎない。
GAFAによる寡占と専制は、オルトライトの興隆と同じぐらい、私たちのインターネットにとっての深刻な脅威である。オルトライトの興隆をおそれるあまり、GAFAのような巨人たちに、無批判に庇護を求めたり、自ら隷属を希望するかのような行動を取るべきではない。