「島田! 鎖骨かうなじか、どっちだ!」 「うなじ」 クラスメイト達がまた不毛な議論を始めていたが、これは即答だ。うなじだろう。そう、この間、目撃することができたんだ、彼女のうなじを……。ささっと結んだポニーテールだったから、後れ毛も出ていた。それがまたよかったんだよなあ……。 「おーい、島田、戻ってこい」 目の前で手をひらひらされて、我にかえった。 「あ、ごめん」 「鎖骨派の意見も聞いてくれ」 「ああ、聞いてやる。揺らがないけどな」 あの思い出がある限り、俺はうなじ派だ。 「鎖骨はあれだよ、胸への入り口なんだよ」 「ほう?」 「それに反して、うなじはただの後ろ姿だろう」 「後ろからいけばいいじゃないか」 何気なくつぶやいたら、クラスメイト達が一斉に引いた。 「え、何、島田、積極的」 「すごいな……」 「なのに、俺らの妄想話に巻き込んでごめんな……」 「ちょっと待て、俺のも妄想だから!」 言ってから、悲しくなった。そう、妄想。彼女のうなじにそっと唇を寄せるだとか、そんなの、無理。#わんあわ #pixiv今日のお題 #うなじ #小説