黒人とスイカのステレオタイプとは、アメリカ合衆国の黒人がスイカに対して尋常でない食欲を示すという人種差別的ステレオタイプである。この偏見は21世紀になっても広くみられた。
歴史
すでに19世紀にはアメリカにおいて肖像や図像によって人種差別的な表現を行う場合、スイカが有力なシンボルの一つとなっていた。このステレオタイプは事実において疑問符がつく。1994年から1996年にかけておこなわれたある調査では、当時アメリカの人口の12.5%を占めていた黒人のスイカの消費量は国内の11.1%程度だったことが明らかにされている。
この人種的偏見が正確にはどういった出自をもつのかはいまもはっきりしていないが、黒人とスイカの連想自体は奴隷制の時代まで遡ることができる。この制度の擁護者は、黒人がスイカとわずかな休息さえ与えていれば幸せを感じる単純な人間たちであることを示そうとしてこの果物を利用したのである。そういった固定観念は、ミンストレル・ショーにも受け継がれている。この演芸ではよく黒人たちが、無知で怠け者で、歌や踊りにふけるばかりか、法外なほどにスイカを好む人種として描かれている。
19世紀から20世紀の半ばにかけての数十年間で、スイカと黒人のステレオタイプは印刷物や映画、彫刻に描かれ、戯画化され、日用品にあしらうデザインとして一般的にさえなっていた。2008年のバラク・オバマの大統領選挙とその後の行政においても、オバマの対立者はスイカのイメージをよく用いた。国務長官であったコンドリーザ・ライスもまた政敵から投げつけられるスイカのイメージに耐えねばならなかった政治家の一人である。
またこういった背景もあり、アメリカでは黒人に対してスイカを送る事は人種差別と判断される。2017年10月、デトロイト市消防局の見習い消防士であったロバート・パティソンは「人種差別を行った」として解雇された。彼が配属先の消防署にスイカを持ち込んだことが原因。パティンソンは配属に先立ち、同局第2大隊長のショーン・マッカーティから「義務ではなく有志でだけど、何か手土産を持ってきて欲しい。手土産は大抵はドーナツだが、他に何か良いと思うものがあればそれを持ってきてくれ」と告げられた。パティンソンはスイカをピンクのリボンで包装し、配属先となる第55ポンプ隊のある消防署へ持ち込んだ。パティンソンはこの行為について後にFOXニュースの取材に回答し、「あれは冗談でもなければ人種差別でもない」と述べている。しかしこの手土産に対し何人かのアフリカ系の消防士は即座に人種差別だと考えたと言う…