白い鳩を初めて見た時から、かっこいいなあと憧れていた。オレはどうしてこんなくすんだ灰色なんだろう。お気に入りだった首周りの虹色も、あの白の美しさにはかなわない、かすかな飾りとしか思えなくなった。
白い鳩に「君の白い羽、素敵ですね」と話しかけてみた。白い鳩はクイッと頭を後ろに下げたけど、そんな風に褒められるのは初めてではないようだった。
「そちらさんの羽にくっきり描かれている、二本の黒い帯だってとてもいいじゃないですか」「いえいえ。真っ白に輝く羽にはかないません。私も白くなりたいものです」魅力をわかっていながら謙遜して見せる白い鳩は、明らかに調子に乗っているようだった。
「この白い羽がいいように見えるかもしれないですけどね。手入れが大変ですし、みんな白ければ個性もあまりない。何より敵に見つかりやすくて、死の危険もありましたよ。いいことはないですよ」
なるほど良いことばかりではなさそうだ。でも、オレなら、白い羽が手に入るならその悩みは全部耐えられるし解決できるだろう。結局この白い鳩は贅沢で怠けものなんだ。すっかり幻滅して、オレは胸をはった。