独仏共同通史 第一次世界大戦(上)ベッケール、クルマイヒ著2014年第3刷(初版2012年)、岩波書店
なんと言うか「思い込みって怖いですね」という感想が浮かぶ。独仏双方が、お互いの自分たちに対する敵愾心を過剰に見積もり過ぎていた、というか。
独仏共同通史 第一次世界大戦(上)ベッケール、クルマイヒ著2014年第3刷(初版2012年)、岩波書店
なんと言うか「思い込みって怖いですね」という感想が浮かぶ。独仏双方が、お互いの自分たちに対する敵愾心を過剰に見積もり過ぎていた、というか。
この本では例えば、ドイツが警戒していたフランス人による「普仏戦争の復讐」というものが、ある意味神話で、当時のフランス国内では確かに「アルザス、ロレーヌの放棄」を口に出しずらい空気はあったものの、かといって復讐のためにドイツに戦争をしかけるなど、ほとんど考えられていなかったことなどが説明されている。
あと興味深かったのは、民主共和制のフランスは中央集権が進んでいたために色々なことが比較的効率よく進む面がある一方で、一見すると強権を発揮できそうなドイツ帝国は、帝国政府と領邦国家と軍管区とに権力が分裂していて、様々な点で問題を起こしていたという指摘。共和国と帝国の一般的なイメージとは真逆な感じ。
何にせよ、主要な当事国あった独仏両国の研究者によるこういう客観的な共同研究が出て来るのに100年あまりの時間がかかっているので、2次大戦を感情やイデオロギー抜きの純粋な歴史研究として扱えるようになるのは、もう数十年先かもしれないと思ったりする。
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