「この花、ポップコーンにそっくりだよな!」
僕は、夏の終わりに散ったサルスベリの花をひとつくちばしにくわえて、友鳩のところへ持って行った。たぶんまだ誰も気づいていないであろう類似点を指摘することで、友の共感を得たかったのだ。
「たしかに、似ているな」「そうだろう、そうだろう」僕たちはポップコーンが大好きだ。運よく手に入ったら、転がしたりつついたり、思う存分遊んでから食べている。
「でも、俺は柿の花の方がポップコーンに似てると思うな」友鳩が目を閉じてつぶやいた。「なんどもぬか喜びしたんだ。ポップコーンだ!ってかけよって、ああ、ちがった……って悔しい思いをしたなあ」「そんなに似ているのか。今度探してみるよ」「いまは季節が違うから見つからないよ。また来年だなあ」
よおし、僕も柿の花を見れる季節まで生きてやるぞ。