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『古の所謂善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。故に善く戦う者の勝つや、智名無く、勇功無し。故に其の戦勝忒わず。忒わざる者は、其の勝を措く所、已に敗るる者に勝てばなり。』
「古くから兵法家が考える優れた者とは、容易に勝てる相手に勝つ者である。それ故、優れた者が戦って勝利しても、智将だとの名声もなく、勇敢であると称えられることもない。それは、その戦いの勝利が間違いのない、当たり前のものだからだ。間違いなく勝つと思われるのは、その勝つための段取りが、すでに戦う前から負けが確定しているような敵に勝つように仕向けられているからである。」
『故に、善く戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざるなり。是の故に、勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。』
「したがって、勝利する軍は、まず負けない態勢をとり、敵を破る機会を逃さないものである。勝利を収める軍は、まず勝利を確定しておいてから、その勝利を実現しようと戦闘に入るが、敗北する軍は、先に戦闘を開始してから、その後で勝利を追い求めるのである。」