そこからの彼の行動は非常に単純だった。生みの親について調べたのだ。
流石に自らの手ではなく、探偵を使ったが。
最寄りの興信所である和泉興信所へと調査依頼を行った数日後に送られてきた報告書―――その内容とは、
"近親相姦"
浜崎順平は、浜崎辰水とその妹の交配によって生まれた子供だった。
広島県能美島の○○地域では近親婚の文化があり、その地が辰水と順平の故郷であった事実が説得力に重みを持たせた。
しかも、交配時における両者の年齢が両方とも30代というやや晩婚気味であった。
親しい遺伝子と遺伝子が引き起こした劣性遺伝の連続、それをプロデュースした老化した精子と卵子。その連鎖を生み出した近親婚の文化。
順平が持っていた障害の数々は、偶然ではなく必然だった。
驚愕の真実はそれだけではない。「辰水の妹」とは順平が見知っている母親の事では無かったのだ。
「妹」は順平が生まれた直後に死亡し、血縁者ではない女と再婚した後に産ませたのが舞子達―――順平の妹なのだという。
事実、彼女たちは障害など持っている様子はない。老いた精子とはいえ、妹達はいたって健康に生まれたのは自然と言える。