あの鯖にはかつてアメリカからの帰国子女がユーザーとして存在していた。
彼女がアメリカに住んでいた頃、友人や彼らの親族の中には殉職された軍人が大勢いたらしい。
アメリカ軍は多くの紛争地域に参加していたから、そういった兵器などには日本で生まれた私達とは違い、身近で畏怖する代物であるのは想像に難くないと思う。
だがそういう過去が彼女にあった事を訴えても、実際の戦地に赴いた経験もない他のユーザー達は戦争を美化するようなトゥートを続けて止めなかった。
尚且、鯖缶はそれを放置した。
私もその現場を垣間見てなんとか状況を変えようとした。彼女には留まれないかと声をかけた。
しかし彼女の恐怖と落胆は計り知れなかったらしく、日本に来なければよかったと最後にアカウントを削除した。
私もその後に同じくアカウントを削除した。
私にはそんな残酷でディストピアのような鯖に「ベストフレンド」は見つけることはできなかったようです。