#Fediverseワンドロワンライ
「大家さん、大家さん」
そっと渡した紙束を見て、大家さんは目を細める。
「綺麗な葉っぱですねえ。……とでもいうと思った?」
大家さんが目を細めるとお札はみるみるうちに紅葉した綺麗な桜の葉っぱに変わっていってしまう。
「お支払いは、タヌキ基準じゃなくて人間のお金でお願いしますって言ったじゃないですか」
大家さんがため息をつく。実は先月も家賃を払えてない。
「ううぅ~」
思わず泣きそうになって唸ると、変化していた耳と尻尾が、みょこみょこと出てきてしまう。
だから同じ里の出のタヌキにも「この駄目タヌキ!」ってって言われるんだ。
「た、タヌキちゃん……」
にも拘わらず、大家さんの声は甘やかしの入った声で。
「も、もふもふさせてくださいませんか?」
という。
「タヌキちゃん。耳の後ろをちょっとだけでいいですから!!」「み、耳はちょっと……」
僕が言うと「痛くはしませんから!」とかみ合わない事を大家さんが言う。