ハトの写真を撮り始めて、すっかりハトを見つけるのが得意になった。思わぬところにハトはいるもので、あんなスキマにも、あの暗がりにもハトを見つけることができる。
写真も面白いものが取れるようになってきた。こんなところに、あんな場所にいるハト。もっと面白いシチュエーションが見つけられるはずだ。私は目をこらしてハトを探し続けた。
そのうち私の眼はハトに調整されてきて、街のあちこちにハトの姿が見えるようになってきた。写真を撮るとそこにハトはいない。私にだけ見えるハト専門の拡張現実で、「あそこにハトがいたらいいな」そんな思いがかなうようになったのだ。
ある朝目覚めて本棚の上を見れば、ほら、そこにもハトがいる……