Conversation
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出版社に書籍の電子データを求める気持ちはすごくよくわかりますし,かくいう私自身,国際法時点の電子データがないことには怒り心頭だし,英米法事典の電子データについてはそのうち買わないとと思っているし,斉藤中英和の最新版にはDVDでpdfが制約なしについているのは素直に感謝して,大切に扱わなきゃなと思っています。だけどね……。自費とはいえ書店に普通に並ぶ本を出して出版社とのお付き合いがなくもない身としては,出版社の側の「本の所持者ではない者が電子データを使える状況が生み出されることによる,本の売上の減少は絶対に避けたい」という気持ちもよくわかるんですよ。実際出版時にも「なぜ,紙の本にするのか?インターネットに公開するのではだめなのか?」という議論はありましたからね(lufimia.netは既に存在していた)。これについては純粋に営利企業としての性質もあるけど,中小の出版社だと「多少の損は覚悟しても出版文化に貢献したい」って気持ちもまたあって,そのバランスの中でいかに「紙の本」で商売にするかを模索しているわけです。そうするとそもそも紙にこだわらなくてもいいやんなどと安易には言えないし,電子データの提供で紙の本が売れなくなることは絶対に避けたいしってなりますよね。以上の理由だから,「現に本を所持している人だけが電子データも利用できる」技術が開発されるのであれば,意外に広まるとは思います。……まあ,「紙の本こそ価値がある」本であるのが理想的なのですが,そこまでの書き手ではない(泣)。