尊厳というのは社会規範に基づいている概念なんだよね。日本では社会通念上「これをやったら尊厳がなくなる」とだめなことも他の国ではOKだったりするし、逆もまた然り。尊厳死という言葉で大病の際の自死についても各国で議論されている。つまり尊厳とは確固たる絶対的な基準があるわけではなく、集合体の合意によって作られ、構成員を縛る暗黙のルールの1つだと考えられる。そうしたとき、尊厳を失うというのは文字上はマイナスの印象があるといえばあるけど、実態としては喪失ではなく解放だと思う。「社会という枷の中で意識的・無意識的に抑圧された自我の解放」であると私は思い、それが常に行われば社会の異端として爪弾きに合うが、頻度を弁えれば精神のメンテナンス手段としては実に効率的なものではないだろうかと、そう思うのですよ