#SS 山道から森中へ夕焼けの山道に走る軽が一台。どうみても四十路おっさんが運転していた。おっさんはカーブに差し掛かったところでブレーキをかける。なぜならば、ヘッドライトの明かりの中に十代前半の女の子を見たからだ。「危ないじゃないか!」十代前半の女の子は、なにかを懇願するような表情で男を少し見つめ、森を指差して歩いていった。
「…声が出せないのか?」怪訝な顔をしながらついていく。おっさんはなぜか懐かしさを憶えつつあった。その理由はすぐ分かった。着いた所は子供の頃に秘密基地としていた場所だからだ。あの子はボロボロの基地から見える雛人形を指差したのであった。