#寅さんは口上心の塊物の始まりが1ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島。泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、博打打ちの始まりが熊坂の長範。はじめばかりでは話にならない、続いた数字が二。兄さん寄ってらっしゃいは吉原のカブ、仁吉が通る東海道、憎まれ小僧が世に憚る。仁木の弾正はお芝居の上での憎まれ役。続いた数字が三つ。どう?曲がったこの本、ね?三、三、六歩で引け目がない、産で死んだが三島のおせん。おせんばかりがおなごじゃないよ。京都は極楽寺坂の門前で、かの小野小町が三日三晩飲まず食わずに野垂れ死んだのが三十三。とかく三という数字は、あやが悪い。続いて負けちゃおう。この黒い本。色が黒いか黒いが色か、色が黒くて食いつきたいが、わたしゃ入れ歯で歯が立たない。色は黒いが味見ておくれ、味は大和の吊るし柿。色が黒くて貰い手なけりゃ、山のカラスは後家ばかり。続いた数字が四つ。四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水、粋な姉ちゃん立ちしょんべん。白く咲いたが”ゆり”の花、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水臭い。一度変われば二度変わる、三度変われば四度変わる。