私は毎日一度はその場所へ降りたって、ゆっくり歩くことに決めている。
今朝も朝食を済ませて、その場所へ向かった。朝食会場から少し離れた大きな公園で、人だけでなくハトも集い、憩い、みな思い思いの時間を過ごしている。私が降り立ったのは公園の、池に続く小川のそばの道だ。ここに小さな橋が架かっている。この橋こそが「その場所」だ。
一歩ずつ、周りの景色を見ながらのんびり橋を渡る。たまには立ち止まって、小川を眺めてもいいだろう。走る子どもたちや、老人の杖には用心して歩かなければいけない。
私は橋が好きだ。翼を持たない人間が、飛ばずに川を渡るために考え出したものだと気づいたときはハト胸が熱くなるのを感じた。当たり前のように川を飛んで渡るハトには到底思いつかないアイディアだろう。私たちは、何かを「できない」とすぐあきらめて選択肢から外していないか? 対岸へは渡れないものだとあきらめている……そんなことはないだろうか?
次は階段とはしごに挑戦したい。これも飛べない人間が上に行くために考え出したものだと聞いたのだ。