三島由紀夫は、「レター教室」は本当に伝説の一冊だと断言するけど。小説家としては、決して飛びぬけた人ではないと思う。文体は素晴らしいけど、表現したいものが曖昧なのよ。
でも、とにかくカッコいいのよね。当時のイケてる男ナンバーワンだったのよ。当時の、ヤング向け雑誌の人気投票でそうだったのよ。
知的で、堂々として、本当にスマートなの。これはね、太宰治や芥川龍之介みたいな「キモイ陰キャ」とは一線を画してる。
映像も残ってるけど、本当に「こんな日本人は観たことがない」ってぐらい、しっかりしてるのよね。日本人的な、ニヤニヤ、チャラチャラした感じが一切ない。
その上で、文章で若者に語りかけてくるわけ。その、彼が試行錯誤した「人間とはどうあるべきか」っていうメッセージが重要なのよ。小説は、まあ、どうでもいいかなと思う。とにかく人間的な力。太宰とは全く違う、力強い、「力強い美」を追求した世界観。そこに共感するのよ。