兵庫県の洋菓子メーカー「ゴンチャロフ製菓」で、当時20歳の男性が2016年6月に自殺したのは、上司の叱責や恒常的な長時間労働が原因だとし、西宮労働基準監督署は7月5日までに労災認定した。認定は6月22日付。 男性は2014年に同社に正社員として入社後、工場でゼリーやチョコレートの製造に従事していた。2015年の秋からは「ワンショット」と呼ばれるチョコ製造機のライン責任者に就いていたが、上司にあたるグループリーダーからの執拗ないじめやパワハラに遭っていたという。 「お前が辞めたら、出身高校から採用しない」という脅しも 亡くなった男性の給与明細 男性は入社当初から、グループリーダーに挨拶を無視されたりしていたが、ライン責任者に就いた頃からは、男性にだけ罵声や叱責がひどくなっていった。 「お前はぼんぼんやからなー。分からんやろな」 「言ってもわからんわなあ、ぼんぼんには」 などと馬鹿にした言葉が男性のみに繰り返されたという。 同工場では、商品として出荷できない失敗製品を六甲山牧場の牛の餌にしていた。男性の返品が特別多いわけではないにも関わらず、男性がチョコの製造に失敗した際には 「お前が牛の餌をいっぱい作るから大変やわ」 「また牛の餌、増やしやがって」 と罵倒したという。「牛の餌」という表現は、他の従業員が廃棄品を作ったときには使われず、男性を責め立てるときだけ執拗に使われた。 2015年11月に休日出勤した際には、被災者が廃棄品を出すためグループリーダーが手本を見せようとチョコを製造したが、グループリーダーもほとんどが廃棄品になった。にもかかわらず、グループリーダーは他の従業員に「〇〇は全然あかんかったわ」などと言いふらしていた。 同年11月~12月頃、グループリーダーが男性に「辞めてまえ」と怒鳴り、男性が「もう辞めます」と言い出した際には、男性が辞めたら、次からは男性の出身高校から採用しないと脅していたという。 一連の罵声や叱責を浴び続けた男性は、2015年12月頃からうつ病を発症したと見られる。その後、2016年の6月24日、通勤途中にJR神戸線に身を投げた。 就業開始時刻1時間前にタイムカード打刻、時間外労働をしていた