テオプラストスの臨終の言葉を読んでいます.「何も言い残すことはないよ.ただ,多くの楽しいことが世間でうとんぜられているのは,評判を気にするせいだと言っておこう.というのも,われわれは生きることを始めるや否や,もう死につつあるのだから.だから,評判を気にすることほど無益なことはないのだ.ともあれ,君達は幸運でいてくれるように.そして,わたしの説を捨ててもいいしーーそれはたいへんな労苦を伴うのだからーーあるいはわたしの説の先頭に立って,立派に奮闘してくれるのもよい.それは大きな名声をもたらすことになろうから.人生には,役に立つことよりも空しいことが多いのだ.それはともかく,わたしにはもはや,何をなすべきかを忠告してあげる時間はないから,君たちの方で,何をなすべきかをよく考えてみることだ」(Diog. Laert. 5.40-41加来訳)