ここまで自由意志を否定してきたわけだけど実は自由意志を否定することこそが、自由ソフトウェアが重要である根拠となると考えている。
個体は環境によるコントロールから逃がれられず常に行動の前後の環境によって行動が制御されているとする。
ソフトウェアは個体にとっては環境である。個体の入力行動に対してソフトウェアは何らかの結果を出力する。ソフトウェアとの個体の関係に問題が生じたとき、「個体そのもの」を操作することはできない。できることは環境操作のみである。
このとき環境側であるソフトウェアを変更できないという状況は極めて問題があるように思える。行動分析学では個体に合わせて環境を制御することで個体の行動を制御する。
人が幸福もしくは「したいことをしている」と感じているときは専門用語でいうと正の強化による行動随伴性によって制御されているときである。そうでない状態からこの状態に持っていくには行動に関連する環境を制御する必要がある。
しかし、不自由なソフトウェアは個体にとっての環境であるソフトウェアの改変を禁じる。これは個体の行動を制御の可能性を消失させることであり問題があるといえる。