収蔵作品のご紹介:花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット(1880年頃|ヴェネチア|サルヴィアーティ工房)
ステム(脚部)の装飾が特徴である大型ゴブレット。脚部は、縦モールの入った円環の内側と外側にひれ飾りが施され、その中心部には白い花の装飾が熔着されている。坏身や脚台部は青みをおびた半透明乳白色のガラスを使い、幻想的な美しさをもつ作品に仕上げられている。これはヴェネチアン・グラスの伝統を踏襲しつつ、 新しい時代に合ったデザインを取り入れることによって、19世紀後半に大きな人気を博したサルヴィアーティ工房の典型的な作例である。ステムに施された過剰ともいえる装飾が、この作品の受け入れられた時代の美意識を物語っている。