サリーとアン課題(サリーとアンかだい、英語:Sally–Anne test)は、心理検査であり、誤信念を他人に帰する社会的認知能力を測定するために発達心理学で使われる。サイモン・バロン=コーエン、Alan M. Leslie、Uta Frithにより先導的に実施された(1985)。1988年、LeslieとFrithは(人形ではなく)人間の俳優を使って実験を繰り返し、同様の結果を得た。
内容
有効な検査を開発するために、バロン=コーエンらはWimmerとPernerの人形劇のパラダイムを修正した(1983)。このパラダイムでは人形は純粋に読み聞かせる仮のキャラクターではなく、物語の実体的なキャラクターを表す。バロン=コーエン、Leslie、Frithによる自閉症の心の理論の研究では、確立した基準の下で自閉症と診断された20人、ダウン症と診断された14人、臨床的に障害がないと診断された27人の計61人が「サリー」と「アン」を用いて検査された。
検査の過程では、人形を導入したのち、その名前を思い出す対照質問(the Naming Question)が出される。その後、短い寸劇が行われる:サリーはビー玉を取って自分のかごに隠しました。その後、彼女は部屋を「離れて」散歩に出かけました。彼女がいない間に、アンはサリーのかごからビー玉を取り出し、自分の箱に入れました。この後、サリーが再び登場し、子どもに重要な信念質問(the Belief Question)がされる。「サリーはどこでビー玉を探すでしょう?」
なお、この設問には文脈上の欠陥があることが指摘されている。「探す (look for)」という言葉はありかのわからないものを見つけ出す行為を言うのであって、サリーにとって明らかなことならビー玉を取り出す行為は「探す」とは言えないからである。つまりこの「探す」という語はサリーにとってビー玉のありかがわからないことになっている状況を示すので、文脈を誠実に解釈しようとすると意味が不明確になる。
結果
参加者がこの検査に合格するためには、サリーはビー玉は自分のかごに入っていると考えていることを示して「信念質問」に正しく答えなくてはならない。この答えはサリーの視点とは連続しているが、参加者の視点とは連続していない。参加者が代替の視点を取ることができない場合、参加者は自身がそうであるように、ビー玉が動いたことを信じる理由をサリーが持っていることを示す…