駅前広場の横の宝くじ売り場で販売員をやっている。
雨が上がった月曜のお昼前で、朝イチと出勤前に買っていく人が去り、お昼休みに買っていく人がやって来る間のちょっとした暇な時間だ。
気が付けば窓口のテーブルにハトが一羽のっていた。わざわざ外に回って追い払うのも面倒だなあと眺めていると、ハトが一枚の宝くじを差し出してきた。
交換期間内の券だったので、戯れに機械にかけて読み取ると、なんと三億円の当りクジだった。
手が震える。
ハトはじっとこちらを見ていた。当ってるって知ってるのかな?
まさかね……でも……
動揺を隠しても、鼻の穴が広がってしまう。そっと券をスライドさせて、機械のカゲに隠してみると、ハトは激しく羽ばたいて抗議の様子を見せる。
そういえば一か月ほど前、ハトが一日百円ずつ三日間持ってきたっけ。ただお金を受け取るのも気が引けて、一枚宝くじをあげたんだ。じゃあ本当にこのハトの「当り」だ。ハトはまだ猛烈に抗議している。
まって、わかったけど、高額当選だから銀行の窓口で受け取らなきゃ、でも多分その場で口座を作らなくちゃでしょ? ハトになんて説明したらいいんだろう。