Conversation
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まあ,マジ話をすれば……。
現代社会を読み解くのに「右翼・左翼」の1軸で読み解くのはさすがに荒っぽいのですよ。
例えて言うと,文系理系の区別に意味があるかのような論説が,世間では説得力を持っているほどにはおよそ説得力がない程度に説得力がおよそない。
もともと右翼左翼は革命直後のフランス議会の議席配置において革命急進派が左翼,王党派が右翼に配置された(中間の主張は文字通り中間に配置された)ことから始まっているけど,その後,そういう意味では使われなくなったよね。
どう使われるようになったかというと,社会主義に親和的なのが左翼,資本主義に親和的なのが右翼ということになったわけだけど……。で,これ自体は,まず政治思想としての自由主義と経済思想としての資本主義が親和的どころかある意味論理的に必然的とされ,一方社会主義は,資本主義社会がそのまま進行すると社会の矛盾が解消不能になって必然的に革命が起き,社会主義に移行するって説いたわけだけど……。
このテーゼは1970年代から動揺を見せ(たとえばチリにおける議会制民主主義の下での社会主義革命を目指したアジェンデの実験。もっともこれはアメリカによってつぶされたわけだけど。また1970年以前からヨーロッパの社会民主主義は,ソ連の社会主義に明確にノーを突き付けたわけで。)そして1980年代末にソ連が崩壊して,資本主義の矛盾は社会主義に進むということが実証的に否定されると同時に,資本主義の側は勝利したとも言えない=資本主義の矛盾は相変わらず残ったわけです。
その例が例えばベーシック・インカムに対する姿勢で,これは従前の分類では左翼の主張なわけだけど,一方で右翼の側でも新自由主義者は積極的に賛成している。これはかつては「極右と極左は相通ずる」なんて説明でお茶を濁していたわけだけど……。
「右翼・左翼って分類だけでいいの?」って考える方が素直だよね~。
また人権を重視するのは左翼だというのが相場だけど,旧社会主義国では人権はえてして重視されていないでしょ。香港に対する中国しかり,ロシアの人権状況しかり。(でも日本だと左翼が人権重視だってされるよね?)
こういう事象の説明を右翼・左翼だけでこなすのは,もはや無理なんですわ。