「[性差はある、いやないという]この対立は本当は無用の対立である。それは、女性の社会的処遇を性差の議論と関連づけ、しかもそれを女性自身に選択させるように装うこの「問」のたてかたが自動的に産出する対立にすぎない。しかし、その問は女性運動内部の論争や権力抗争の道具として使用される。運動者自身が自らの立場の正当化のためにその問を利用している。そして、問自体が構造的に歪んでいるこの問は、必ず女性自身に対立を生む。男性はあと黙って見ていればいいのである。この内部対立が、女性運動を自動的に終結に導いてくれるのだ。高見の見物を楽しむことにしよう。」[フェミニズムと権力作用] 江原由美子pp.18-9