吐く息から白さが薄まり、春の到来を感じた。
遠くから聞こえる喧騒の音は、4月に入って新人やらなにやらの歓迎会なのだろう。
こんな日には、とっておきの酒を開けても良いかもしれない。
とっておき、とはいっても、百円のパック酒だ。それを空のペットボトルに入れてちびちびと大切に飲んでいる。
月収六千円の自分にとって、百円といえども大金だ。
幸いなことに、近くのスーパーは、入店は断られるものの、ホームレスも金さえ払えば売ってくれる。
欲しいものを伝えて、店員がそれを店外に持ってくる。というシステムだ。
裏手に回ってチャイムを鳴らすと、マスクをつけた従業員が出てくる。
初めて見た時はショックを受けたものだが、体臭に関係なく同じ対応なので、単なる保険だと割り切ることにした。
でも、お金をビニールに入れてくれ。というのは未だに慣れない。
小学生の○○菌いじめのような扱いに嫌気がさしつつも、かつて自分がそちら側だったときのことを思い出しなんとも言えない気分になる。
いくら金があっても、使い道が無ければ生きていけないのだから。この地位に甘んじるしかないのだ。(続
#やらかし