すべて苦痛の際には 、つぎの考えをすぐ念頭に浮べよ 。すなわちこれは恥ずべきことではないこと 。また君の舵を取る精神を損なうものでもないこと 。なぜなら精神は 、それが理性的であるかぎりにおいて 、また社会的であるかぎりにおいて 、これによって損なわれるものではない 。さらに非常に大きな苦痛に際しては 、エピク ーロスの言葉をもって君の助けとせよ 。曰く 「 (苦痛は )耐えられぬものではなく 、際限のないものでもない 6 0 。 」ただし苦痛の限界を念頭においてこれに自分の想像を加えぬことを前提とする 。またつぎのことをも記憶せよ 。多くの不快事は 、一見そう見えないかもしれないが 、実際は苦痛同然のものであるということ 。たとえば睡気 、暑気 、食欲不振 。以上のいずれかのために不機嫌になった場合には 、自分にこういいきかせるがよい 。私は苦痛に降参しているのだ 、と 。(7:64)前掲書