仕事を終え、微睡の中でニコフレを開くと、そこにはチノちゃんがいた。
チノちゃんといえば、ニコフレ三大天使の一人、早朝を司る天使であることは、周知の事実であろう。
顔を出せば必ず挨拶を返し、コーヒーを淹れてくれる彼女。だが、そんな彼女にも、一つ困った事実が存在する。
チノちゃんは、寝る前の人にも、コーヒーを渡すのだ。
もちろん、貰ったコーヒーを無下にするわけにもいかない。
コーヒーを貰ったら飲む。これは当然であろう。
コーヒーを貰うことを避けるには、そもそもトゥートしなければいいのだ。
だが、目の前にいるチノちゃんという天使。彼女に話しかけずに、この一日を終えて良いものだろうか?
この会話の機会をスルーして、「今日も精いっぱい生きた」と明日の自分に言えるのだろうか?
では、最初のトゥートで「コーヒーは要らない」と言うのはどうだろうか?
これも考慮に値しない。チノちゃんからの恵みを拒絶する。そんな選択があるだろうか?
チノちゃんを拒絶せず、なおかつコーヒーを貰わない方法はないだろうか?
ここまで考えて、僕は簡単な一つの結論にたどり着いた。
「チノちゃん、いつものちょーだい!」