忍は焦っていた。
亜紀が呆然とした顔で忍を見ている。
額に滲む汗が玉となって、やがて伝って落ちる。
「ふぅっ❤ ああんっ❤」
そう、確かに忍は喘いだ。
亜紀は我が耳を疑っていた。
まさか目の前でエッチしようとしている男が、前戯のさなか、まるで女の子の様に喘いだのだ。
そのとき、二人の時は止まったかのように感じた。
――半年程前、玉砕覚悟で忍が亜紀に告白し、なんとOKの返事を貰えたときは、天にも昇る勢いだった。
亜紀は美人ではあったが、女性とつるむ事が多く、ことごとく玉砕している男がいたことから、いわゆるレズ疑惑があったからだ。
その疑惑が上がってからというもの、亜紀への告白はぱったりと途絶えた。
逆に、女性からの告白が増えたのか、結構隣を歩く女性がコロコロと変わっていく。
それが、噂に拍車をかけていった。
亜紀は告白した忍の体をなめ回すように見て、
「ふぅん、君、私の噂を聞いても告白するって、変わってるわね」
と小悪魔の笑みを浮かべる。
きつめの女性なだけに破壊力は満点であった。(続