にぎやかな場所を抜けて、私たちはひとつのテントへ集まった。
炊事場や水場で出会う馴染みの顔もできたし、今はこうやって布団をかぶってクスクスと笑いながらくだらないことを言い合う仲の人もいる。
祭りの日、テントから出てみると、いつの間にか建てられていた舞台の周りには人だかりができていた。ぐるぐるぐるぐる踊っている。どこからこんなに人がやってきたのだろう。
馴染みの顔も混じっているのに、ちらちら見えては渦に飲まれるように消えてしまう。怖くて遠巻きに見ているしかない私に、昨日の夜も布団の中で語り合った友達が声をかけてきた。
「明日はあっちのあたらしいテントに、サーカスの象がくるんだって。一緒に行ってみよう」
私はつながれた手を握り返して、小さくうなずいた。